🔍 邪馬台国の謎を解き明かす『魏志倭人伝ぎしわじんでん』の訳


今回の『魏志倭人伝』の訳と解説は、【第5部】となります。

【原文の構成】

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📺 『魏志倭人伝』の原文と直訳

【原文と直訳】(卑弥呼の死)

正始元年 太守弓遵 遺建中校尉梯儁等 奉詔書印綬詣 倭國 拜假 倭王 并齎詔賜金帛 錦 罽 刀 鏡 采物 倭王 因使上表答謝恩詔 

正始元年 太守弓遵 建中校尉梯儁等を遣わし 詔書 印綬 携え 倭国へ赴かせ給う 倭王に謁し 金帛 錦 罽 刀 鏡 采物を賜う 倭王 恩詔に感謝の意 受け給う


其四年 倭王 復遺使 大夫 伊聲耆 掖邪狗等八人 上獻 生口 倭錦 絳青縑 緜衣 帛布 丹木 [犭付] 短弓矢 掖邪狗等 壹拜率善中郎將印綬 其六年 詔賜 倭 難升米 黃幢 付郡假授 其八年 太守王頎 到官 倭女王卑彌呼 與狗奴國 男王 卑彌弓呼 素不和 遺倭載斯 烏越 等詣郡 說相攻擊狀 遣 塞曹掾史 張政等 因齎詔書 黃幢 拜假 難升米 爲檄告喻之

同四年 倭王 再び 大夫 伊聲耆 掖邪狗等 八人使者 遣わし 生口 倭錦 絳青縑 緜衣 帛布 丹木 犭付 短弓矢を献上せしめたり 掖邪狗等 率善中郎将の印綬 拝受す 同六年 詔より倭の難升米に黄幢 賜わり 郡に付けて假授せしむ 同八年 太守王頎 官に就任せり 倭の女王卑弥呼と狗奴国くなこくの男王 卑弥弓呼 安寧あんねいは 元より不和なり 倭の載斯 烏越等 郡に来り 互いの攻撃状況報告す 塞曹掾史の張政等 遣わし 詔書 黄幢 持ちて 難升米に拝假し 告喻の檄 伝えん


卑彌呼 以死 大作冢 徑百餘歩 狥葬者 奴碑百餘人 更立男王 國中不服 更相誅殺 當時殺千餘人

卑弥呼 死後 大墓を作る その直径百余歩 埋葬儀 奴隷 碑の人々百余人 参加せり しかる後 男王安寧あんねい天皇)立てられしも 国中服従せず 更に相互誅殺し合い その折 千余人 落命す


復立 卑彌呼 宗女 壹與 年十三爲王 國中遂定 政等以檄告喻 壹與 壹與 遣 倭大夫 率善中郎將 掖邪狗 等 二十人 送政等還 因詣臺 獻上男女生口三十人 貢白珠五千孔 青大句珠二枚 異文雜錦二十匹 

再度 卑弥呼 宗女 壹與 十三歳にて王懿徳いとく天皇)とし これにて国中落ち着きし 政など檄をもって壹與に告喻せり 壹與 倭の大夫 率善中郎将の掖邪狗等 二十人遣わし 政等送り返し 台に詣で 男女の生口三十人 白珠五千孔等 献上せり

テーブルデザインピンク2行 ほえ〜中国語も訳も分からない! もっと分かりやすく解説してほしいです……
直訳のままでは、内容の理解は難しいですね。 以下に【原文】の現代訳バージョンでの説明を用意しましたので、どうぞ。   ・    ・ 
三国志 Records of the Three Kingdoms 『魏志倭人伝』第4書 (陳寿Chén Shòu

陛下、「遥か東方の島国の地」から訃報が届きました。かの国を統治しておられた女王陛下、卑弥呼様がお亡くなりになられたとのことでございます。 ここに哀悼の意とともに、ただいま使節団の団長より届いた、まとめを報告させていただきます。


正始元年(西暦240年)我が国の太守の弓遵と建中校尉の梯儁は、詔書と印綬を携えて遙かな倭国に向かいました。 卑弥呼女王は彼らとの謁見を許可し、我が国から贈られた金、布、刀、鏡などの贈り物を受け取り、感謝の意を示しました。 同四年…… 卑弥呼女王からの返礼として、大夫じょうぶの伊聲耆や掖邪狗を含む八人の使者が我が国に到着し、技能者や布、衣服、木材、短弓と矢を献上されました。 掖邪狗らは、率善中郎将の地位と印綬を受け取り、その使命を無事に果たしました。 同六年には、倭の〝難升米なんしょうべい〟に黄色の旗を贈るため、魏の宮殿で公式に授与しました。 同八年には、新たな太守として王頎が就任しました。 この年、倭の女王陛下・卑弥呼と狗奴国くなこくの男王、 卑弥弓呼 安寧あんねいは不和でした。 倭の載斯zài sī烏越wū yuè(八咫烏系の子孫?)が魏の宮殿に来て、互いの攻撃状況(天の喧嘩)を報告しました。 これを受けて、我が宮殿からは塞曹掾史sāi cáo yuàn shǐの張政らが派遣され〝難升米なんしょうべい〟に詔書と黄色のちょうを渡し、当国家からの希望を伝えました。 卑弥呼女王が亡くなった後、大きな墓が作られ、その直径は約100歩に及びました。 埋葬儀には100人以上の奴隷や碑の人々が参加しました。 その後、彼の地には男王安寧あんねい天皇)が立てられましたが、この者に国は全く服従せず、争いが続き、大規模な戦闘によって、1000人以上の人が命を落としたのことです。 この混乱を収めるため、卑弥呼の親族である壹與いよが13歳の女子として王として立てられ、国は再び落ち着きを取り戻しました。 壹與懿徳いとく天皇)は即位の報を我が国に伝え、友好関係を維持するため、掖邪狗えきやく(益役)など20人の大夫を我が国に派遣しました。 彼らは男女30人の技能者、白珠5000、青大句珠2枚、異文雜錦20匹を贈り物として献上してこられました。

🎓 卑弥呼と卑弥弓呼ひみくこの天の喧嘩

卑弥呼と狗奴国くなこく(弓名国)の男王、 卑弥弓呼ひみくこ について。 卑弥弓呼 とは、何者なのか? まず、女王卑弥呼 に似た名前がつけられていることから、弟のこと。 女王の弟といえば、初期の頃、政治を手伝っていた記述があり、あの頃は特に問題は起きてなかったよう。 その後、なんらかの衝突があって、弟が都を追われて狗奴国くなこくに飛ばされた?   ・    ・  ただこの、狗奴国くなこくという名は、【第1部】にも出てきた南側の国なのですが、実在した地名ではなく「犬の人々」みたいな侮蔑の意味を込めたテキトーな名前なので、この地は、物語として創作された、架空の地名。 話の整合性から見ても、ちょっと前まで都で政治を手伝っていた弟が、短期間で他国の王になり、中央政府とまともに軍事衝突したとは考えにくく、 狗奴国くなこく(弓名国)と読み取れることから「政権内部での、不仲からの軍事クーデター」(弓隊を宮殿にけしかけ、そこで戦闘があった)と見ています。

🎓 卑弥呼は卑弥弓呼ひみくこに暗殺された?

「卑弥呼は卑弥弓呼ひみくこ に暗殺されたのではないか?」 というと、穏やかではありませんが、奇妙なことに、その『姉の暗殺』を連想するようなシーンが、『古事記』の中にあるのです。   ・    ・  まずは状況を整理しましょう。 登場人物は2人です。〝卑弥呼〟と〝 卑弥弓呼ひみくこ 〟 名前の類似性から、おそらく「姉と弟」でしょう。 (どちらも、「周りの者からそう呼ばれていた」という意味の文字) そして、「卑弥呼の弟」と思われる者の名は、 卑弥弓呼ひみくこ 。〝弓〟が強調されています。 覚えておいてくださいね! 弓ですよ! 今から話す『神話』の該当部分は、今回のエピソードと内容が重なり、弟の弓隊によるクーデターの仮説を後押しする形となっています。 【該当シーン】

天からの使者、雉名鳴女キジナナキメ天若日子アマノワカヒコの家に降り立ち、天の命令を伝えにきました。 しかし、天佐具賣あめのさぐり(天の探り)は、雉名鳴女キジナナキメの鳴き声を不吉と感じ「射てまえ」と助言しました。 天若日子アマノワカヒコは、天の波士弓あまのはじゆみ(天の恥弓)を用いて、雉名鳴女キジナナキメを射てしまいます。その矢は雉の胸を貫き、その矢は遠く「天の安河」の河原まで飛んでいきました。

『神話』の中では、天若日子アマノワカヒコ(弟・天若彦)の弓矢が雉名鳴女キジナナキメ(姉上)の胸に刺さったと書いているのですが…… この雉名鳴女キジナナキメとは遠回しに〝卑弥呼〟のことを指しています。   ・    ・ 
雉名鳴女キジナナキメの語源は、天と交流していたときの卑弥呼の祝詞の声
卑弥呼が神霊と交流する際に発した、特異な発音(発声法) 「雉の鳴き声のような、グェーゲー」というこの声に対して、妻から

「あれなんや? 気味悪いわぁ〜。ひと思いに射てまってや〜。そんでアンタが後継王になりぃ! アンタが王やで!! そんでウチが王妃や」

みたいなやり取りが実際にあったのでは? 実際にクーデターの事実があり、弟の矢が姉に向けて放たれたのだとしたら、「なんてことをしてくれたんだ!」と〝天の恥弓〟という弓名が神話に載っても、おかしくありません。 この行為は『神武天皇』の実子によるものですから、『神武天皇』と『卑弥呼女王』がともに行っていた、

 ・ 天の意に沿った理想的な政治をする  ・ 民にとって、模範となる政治をする  ・ 和をもって尊しとなす

これらの精神に反する行為となります。単なる権力闘争。 人間側の裏切りによって神は離れ、国は当然乱れます。 それは、残された 卑弥呼派の宮廷貴族側 にとって、強烈な怒りとなり、
『神話』に不名誉な形で書いちゃうぞ!!
となってもおかしくありません。   ・    ・  その後、天若日子アマノワカヒコ(弟・天若彦)が次の天皇になったようですが、当然誰も従うことはなく、千人を超える戦死者の出る〝何か〟があった。 おそらく、権力を正しい側に取り戻す〝聖戦〟 そして、権力争いの醜さを目の当たりにした、卑弥呼派の宮廷貴族側は、権力闘争とは無縁になりそうな13歳の 卑弥呼女王に縁のある、皇族の血を引く女の子 を、新天皇に推薦し、彼女を支えるために全力で補佐した…… この仮説は、前後の歴史の流れとも矛盾がなく、スッと通る説得力を持ち、神話の内容とも一致する。 もし本当に事実だったとしたら、日本の歴史上、最大の事件となります!!
 ↳ 本にまとめて出版する予定です
NEXT古代の女性天皇と欠史八代










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